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クリス智子 クリス智子
クリス智子

植物ハテナ

CHRIS TOMOKO

植物ハテナ

CHRIS TOMOKO

 長く咲いてくれていた紫陽花もそろそろ、だろうか。蒸し暑さの中、7月到来。5月半ばごろから色とりどりの紫陽花が、昼花火のように目線の高さに次々と打ち上がったまま、しばらく目を楽しませてくれていた。これまで紫陽花が特別好きだったわけではなかったが、やはり鎌倉に暮らすようになってから、近くの道に咲き誇る紫陽花に、朝はチアリーダーのポンポンさながら溌剌とした元気をもらい、夜は帰り道を明るく照らしてもらっているうちに、どうも気が移ってきた。さらには好みまで出てきて、どちらかというと、線香花火のようなヤマアジサイ、ガクアジサイが好きだと言いはじめ、昨年、庭に植えた。また名前がわからぬままに季節が過ぎ、今年こそは絶対に調べようと思っていた紫陽花の名は「カシワバアジサイ」だった。この、しだれ花火のような紫陽花も、先日、庭に。

引っ越してから数年、どうしたものかと考えあぐね、荒れ野状態だった庭に、ようやく着手しはじめた2年ほど前から「これなに?」と思う植物が一気に増えた。植物や花は大好きだが、名前となると、どうにも覚えが悪かった私。学術名は自分のその植物に対する印象と合致しないことも多いし、そもそも、名前がなくても花や植物はきれいでおもしろい。一方、名前を知ると、へぇーとか、なんで?と、ふつふつ思うことが出てくる。庭にあったらいいなと思う場合、ある程度、その植物を知らないと悪いと思うようにもなった。庭師さんに教えてもらえる時はラッキーだが、街中で「?」に出会ったときは、写真を撮って後日教えて頂いたり、"Picture This "というアプリを使っている。人から教えてもらう方が、断然、記憶に残るのだが、タイミングを逃さないという意味ではこちらも助かる。持ち歩ける、ライブな植物図鑑といったところだろうか。アプリ内のカメラで気になる植物の写真を撮るだけで、数秒後にピタッと、名前から、生育条件、剪定時期、世話の仕方などが出てくる。アプリへの完全なる敗北感を味わいつつ、感心しきり。都内でもこれを使うと、ぐんと景色が違って感じられる。

 さて、先週末、伊豆での滞在先に群生し満開だった木が、たまに見かけると素敵だなぁと眺めていた木で嬉しくなった。これはなんだっけ?とパチリ、数秒後、手にした名は「合歓の木」(ネムノキ)だった。部屋でずっと好きで育てているエバーフレッシュと仲間のようで、なるほどと思った。合歓の木の葉は、光を通し、昼は軽やかに風とダンスして、夜には眠る。この時期は表面積の大きい葉をたくさん見かけ、暑い時期や雨の降る日は影や傘となってくれ助かるが、合歓の木の姿は、その手の植物とはまったく違う存在で、涼しげ愉しげ、見とれて幸せになれた。また満開の頃に、合歓の木の下で過ごしたい。

 余談だが、以前、アプリのカメラが自分側を向いていたことに気づかず、自分の顔を撮った写真に、まったなしで検索結果が出てきたことがある。現れた植物名は長すぎて頭に入らなかったが、トウモロコシをダメにする菌を持ち、バイオテクノロジーの世界では非常に注目されているらしいキノコに堂々と分類された。どんなものにもNOと言わないアプリ。頑張るアプリ。それにしても、受け入れがたいほどに、地味で陰気、崩れかけた岩のような風貌のキノコ、の私。髪が真っ赤だったりしたら、違ったのだろうか....などと、どうでもいい悪あがきを脳内にて。なんだか、へんな遊びを覚えてしまった。また傷が癒えた頃に挑んでみよっと。

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