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クリス智子 クリス智子
クリス智子

秋はモノづくりの季節

CHRIS TOMOKO

秋はモノづくりの季節

CHRIS TOMOKO

 確実に夏は過ぎ去ったと感じる日。「あ、そろそろ始めないと」と思う。その日はだいたい10月はじめに訪れる。急に季節の進みを肌で感じ、少し焦りも混じるこの感じ...小さい頃から私にとって秋のはじまりは、モノづくりをはじめる合図で、それはクリスマスへのカウントダウンでもあった。小学2、3年生の頃から、クリスマスには両親や妹に手作りのものをよくプレゼントしていた。作るものは、ビーズの小物、ティッシュケース、手提げバッグ、刺繍を入れた飾り布、絵などなど。家庭科の授業で習ったことを応用して、高校生の頃はパジャマやスーツなども作った。編み物は母親に聞くとバレてしまうので、近くの手芸屋のおばさんに教えてもらい仕上げたこともある。自分を追い込み、時には寝不足、時には期末テストをくぐり抜けながら、モノづくり(=プレゼント)制作に励む、この時期が大好きだった。あのエネルギーはなんだったのだろう。仕事を始めた23歳の頃から、過剰なまでの制作は緩やかになっていったが、今でも、その感覚が自分の中に強くある。

 代々、我が家にそうしたルールが受け継がれているわけではない。ないが、息子は4歳の頃から、まさに私の小さい頃そのもので、モノづくりに集中するタイプ。クリスマスにかぎらず、日頃から色々なモノづくりに取り組むチャンスを息子とは共有したいと思っている。ステンシルで作ったトートバッグ、油絵、ネックレス、拾った石に色を塗った置物、マグカップなどなど、毎年、あれこれ工夫して作ってくれる。いつまでこういう時間が続くかなぁ、と思いながら、集中する表情や、悩んで考えている過程、ラッピングをしていち早くツリーの下に並べる様子など、微笑ましく見させてもらっている。本当は、それが私にとっては一番のプレゼント。昨年などは、ツリーを出す数日前に待ちきれずツリーを置くあたりの床にプレゼントを並べていて、違った意味で、こちらが焦る。

 つい先日、朝食のときに「10月だねー」のあと、息子と私は揃って「そろそろ始めないと」とハモり、笑ってしまった。通っているアトリエの夏での制作も、彼はクリスマスを見据えているから、すでに4つはできているらしい。私も何か考えよう。作るのも好きならば、モノづくりをする人たちと話したり、手から生まれたモノを見ることに喜びを感じる。その人の想像力や心配り、経験や記憶に溢れるものたち。エネルギーがある。昨日から盛岡にきていて、いよいよ今日から第2回「北のクラフトフェア」。昨年もいい時間を過ごせた。全国から集まる素敵なモノづくり人たちに出逢える週末、満喫したい。本日、空は快晴なり。またご報告します!

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